当院では最新のOCT「Canon OCT-S1」を導入しました。
光干渉断層計(OCT)は、眼の奥にある網膜などの構造を画像化する眼科機器です。
OCTは今や眼科診療にはなくてはならない物になりましたが、OCT-S1は、レーザー光源に波長掃引式光源を採用し、これまでは捉えるのが困難だった広範囲かつ深部に至るまでの眼底三次元画像を一度の撮影で取得することが可能となりました。
現在のOCTの中では世界最高の画角を有し、1枚で広範囲の眼底を観察することができます。
まだ日本国内で取り扱いしているクリニックは僅かとのことです。
■画像・動画引用:キャノンメドテックサプライ株式会社 Xephilio OCT-S1
世界最高画角(最大23mm)で、高解像度の網膜と脈絡膜の断層画像を取得できるため、従来では描出できなかった周辺部の疾患の発見や評価が可能になりました。網膜硝子体疾患の診療に非常に有用な画像診断となります。
造影剤を用いずに網膜と脈絡膜の血管を描出できるOCTA機能を搭載し、最大23×20mm画角の超広角OCTA画像も撮影可能です。
造影剤によるアナフィラキシーショックのリスクをゼロとしながら、眼底の血流の状態を判断できるため、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などの進行程度を正確に診断可能となりました。
AI技術を応用したノイズ低減処理により、短時間でより高精細な画像が得られます。
光干渉断層血管撮影(OCT angiography:OCTA)は、光干渉断層計(OCT)を用いて、非侵襲的に血流動態に基づいて血管構造を描出することができる新しい技術です。 フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)やインドシアニングリーン赤外蛍光造影検査(IA)とは異なり、造影剤を使用しないので造影剤によるアレルギーや副作用の恐れもなく、短時間で検査が可能となります。
OCTAの原理は、動きのあるもの(血流内の赤血球)のみを抽出して、血管構造だけを再構築するもので、近年のOCTスキャンスピードの高速化に伴い可能になった技術です。
※従来のスキャン画像との比較
※正常眼 広角OCTA
糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性など循環異常や異常血管を生じる疾患の精査に役立ち、視力を守るために一番重要な黄斑部の変化を侵襲なく、より本質的な検査が可能となります。 造影剤を使用する必要がないため、アレルギーや副作用のリスクもなく治療後の経過観察などを行えるのも最大の特長です。
例えば糖尿病の方は、進行すると様々な合併症のリスクがあります。
OCTAを使用すれば定期的に新生血管の状態や変化を確認できるので、急な悪化を見逃す可能性を抑えることができ、治療方針の決定や視力の維持などに貢献することができます。
一般的な網膜疾患の治療としては、抗血管内皮細胞増殖因子(抗VEGF薬)の硝子体注射やレーザーによる網膜光凝固術、硝子体手術などがあり、それらの方法によって多くの患者様の症状が改善されます。
しかし、病気の発見が遅れ、治療のタイミングが遅れた場合などは期待した治療効果を得られない場合も多くあります。そのため病気の早期発見や詳しい病態の描出に寄与するOCTAは有用であると考えています。
もしも日常生活の中で、歪んで見えたり、飛蚊症や視力低下などを自覚した場合は早めの受診を検討して頂ければと思います。
OCTA | 蛍光眼底造影 | |
---|---|---|
造影剤使用による 副作用のリスク |
なし | あり |
撮影の簡便さ | 簡便 | 煩雑 |
深さ別解析 | できる | できない |
撮影範囲 | やや狭い | 広い |
解像度 | 高い | 普通 |
蛍光漏出等の 機能的解析 |
できない | できる |
蛍光漏出等による 画像の不鮮明化 |
なし | あり |
時系列による評価 | できない | できる |